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研究会長 挨拶

1981年から日本人の死亡原因のトップは「がん」となりましたが、高齢者に多い「がん」は、罹患数、死亡数ともに今もなお増え続け、昨今では「日本人の2人に1人はがんに罹り、3人に1人はがんで亡くなる」という状況になっています。このような状況から、2006年には「がん対策基本法」が制定され、その法律を実行するための「がん対策推進基本計画」に後押しされて2010年には「がん患者リハビリテーション料」の診療報酬が算定できるようになり、がん患者に対するリハビリテーションの必要性は社会に急速に認知されるようになってきています。

一方、がん患者に対するリハビリテーションが多くの人に知られるようになったことで、他の医療と同じように科学的な検証が求められるようになってきました。科学的な検証というと、ヒトの意志は介在しない世界の話しだと思われがちですが、全ての医療行為とその効果に与える因子を科学的に漏れなく検証することは不可能であり、がんに対する理学療法という一領域に限定しても同じです。現実的には、より重要で実行しやすい思われるテーマから検証を行うことになります。そして、何が重要であるかを考えるためには、我々にはどのような理学療法の可能性があるかを知ることが大切です。

今回の、第2回がん理学療法部門研究会では、これからのエビデンス作りを考えていくために重要となる講演を多数企画致しました。まず、基調講演「がん理学療法の専門性を追究するために」では、現在において求められる検証的な臨床の進め方とその延長線上にある臨床研究の方法に関する最新のトピックスをお話しさせていただきます。その後、「周術期」「骨転移」「低体力」「在宅支援」「リンパ浮腫」「緩和期」をテーマして、各領域でトップを走る専門家から将来のあるべき姿、理想像について夢と想いを存分に語っていただくことにしています。がんという領域における理学療法の専門性を追究するための貴重な2日間になるはずです。奮ってのご参加をお待ちしております。

第2回 がん理学療法部門研究会

研究会長 高倉 保幸

2019年2月吉日

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